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Lube-Tips Newsletter Japan  発信元:日本ノリア編集部
ルーブ・チップス ニュースレター
2006年11月20日 No.16
 潤滑油の言いたいことを聴けていますか?
今日の「ちょっとしたヒント」
1.合成潤滑剤のデメリットは?
2.予定外停止を“予知”
3.シール部損傷の予防保全
4.食品グレードを使うべき?

今日のヒント1:合成潤滑剤のデメリットは?
 オイルシールに対する影響、エステル系の加水分解、製造コストなどがデメリットとして挙げられます。特に、オイルシールへの影響では、リン酸エステル系のオイルは、通常バイトン仕様のオイルシールで対応できますが、スカイドロールについては、EPDMのみ対応となります。このように、銘柄ごとにMSDS(化学物質等安全データシート)を確認するなど、使用上の制限が多くなります。

(投稿:東京オイルアナリスト 分析センター 山中克浩様)

*10月10日配信の「ルーブ・チップス No.13」のトピックに補足していただきました。

今日のヒント2:予定外停止を“予知”
 パルプ・製紙設備の更新に伴い、3つの材料洗浄ラインを1ラインに統合しました。しかし、もし洗浄ラインが停止した場合、全ての生産が止まる恐れがあります。次の年次定期検査まで、設備が停止なく稼働するように、全ての油圧ポンプに「モーターマインダー」を設置しました。モーターマインダーは、油圧作動油が通過する箇所に置いたアルミニウムのブロックです。両面にサイトガラスを有し、下部には磁石が設置され、サイトガラスから見えます。流量計を設置したポンプとモーターのドレインに、このモーターマインダーを導入しました。軸受の不良や、過度のカム摩耗から発生した金属粉が、磁石に捕捉される様子が目視できます。また、ピストンから作動液の漏出があれば、流量の増加で検出できます。
 このようなモニターの設置や、全てのフィルタを複式に変えること、全てのゲージに適正領域を表示することにより、ラインの状態を把握し、予定外停止の恐れがない設備になりました。

(投稿:Norman Eudaily, Vibration Analyst, Simpson Tacoma Kraft)

今日のヒント3:シール部損傷の予防保全
 シール部が損傷した場合は、単なる交換では済ませないで、損傷の根本的な原因を特定してください。検討しない例が散見されます。

 損傷の原因としては;
 1)コンポーネントの調整不良
 2)軸受の潤滑不足
 3)回転体の振動
 4)流体汚染(水分、酸、微粒子など)
 5)取り付けパッドの固定不良によるねじりの発生
 6)コンポーネント基板のグラウティング・取り付けの不備
 7)ローターのバランス不良もしくはシャフトの曲がり
 8)修理後の再始動時もしくは稼働中の洗浄方法/手順の不備
 9)シールや軸受の取り付け時の施工不良
 10)調整不良か温度差に起因した歪みの発生
 11)ボルトとブラケットの緩み
 12)適合性のない流体の添加
 13)温度上昇(あるいは温度の著しい変化)
 14)汚染環境での運転(すす、異物の侵入など)
 15)ろ過方法の変更

 装置の健全な運転管理に、まずは正しいシールの選択が不可欠です。
振動、流体分析、現在の装置状況のログ取得といった定期的レビューは、シールの延命だけでなく、漏出による環境汚染のリスクに置き換えると、数百万ドルに相当する隠れた価値があります。

出典書籍:「The Practical Handbook of Machinery Lubrication」より

読者の質問から:食品グレードを使うべき?
質問)「封入された状態で飛沫給油されるヘリカルギヤや、ヘリカル傘歯車伝達系に対する食品機械用潤滑油の適用について教えて下さい。通常、これらのギヤ油には、ISO VG220EP(極圧添加剤)潤滑剤が指定されています。しかし、食物グレード潤滑油には、硫黄-リンベースのEPは含まれていません。食品グレードのPAO(ポリアルファオレフィン)/SHC(合成炭化水素)か、食品グレードPAG(ポリアルキレングリコール)潤滑剤は、鉱油やホワイトオイルに比べてどんな利点がありますか?例えば、耐酸化性、耐摩耗性、スカッフイング性、水分離性に関してはいかがでしょうか」

解答)Mark Barnes, Noria Corporation

 質問は、食品機械用潤滑油のうち、食品と接触する可能性のある油、H1を意図していますね。このような規制下で使用する潤滑油には、食品の安全のため、FDA(Food and Drug Administration)の認可リストにある添加物だけが含まれています。一般的に、H1潤滑剤は、基油としてPAO、PAGまたはホワイトオイルが使用されます。ご指摘は正しく、多くの産業ギヤ油の中で使用される一般的な硫黄-リン化合物は、H1の条件を満たしていません。
 ギヤボックスメーカーにとって必須なのは、高荷重条件で適切な潤滑を保証する性能の提供です。従って、選定したH1潤滑剤が、必要な性能の特性(OK荷重、四球式摩擦、融着、FZGなどの試験)を満たすなら、使用できます。
 耐酸化性の観点では、合成潤滑剤(PAO、PAG)は、鉱油より多少良い性能を示すかもしれません。ホワイトオイルとPAOの合成潤滑剤の水分離性は、本質的に極性化合物を含まないため、一般には鉱油より良いとされています。
 ただし、食品機械用潤滑油と、非食品グレード潤滑油には、“コストと性能”のバランスという命題があります。あえて言えば、非食品グレード潤滑油は低コストで、良い性能を発揮しますので、規制がない場合は、非食品グレードの潤滑油を使用したほうが賢明かもしれません。


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ルーブ・チップス ニュースレター
2006年11月06日 No.15
 潤滑油の言いたいことを聴けていますか?
今日の「ちょっとしたヒント」
1.スピンオンフィルタのチェック
2.PAOギヤ油の省エネ貢献
3.ANの急速な増加
4.油分析データの矛盾

今日のヒント1:スピンオンフィルタのチェック
 フィルタをいつもより長期間使用している場合や、フィルタを変更しても粒子計数が下がらない場合は、フィルタヘッドにスプリング入りのバイパス弁が付帯しているかを確認してください。振動は、接続したバイパスラインのフィルタや、並行するバイパスのフィルタスプリング、プランジャー、バイパスプレートの急速な摩耗を引き起こし、これらは圧力変化などでは検出できない場合があります。
 フィルタ下流でバイパスプレートの部品を点検した際、不具合を見つけました。他ユニットのいくつかは、同様に摩耗の問題がありました。
 対策として、フィルタをバイパスなしのタイプに変更しました。

(Jerry Baker, PdM - Lubrication, Tate & Lyle)
今日のヒント2:PAOギヤ油の省エネ貢献
 工業分野のPAO(ポリアルファオレフィン)ベースのギヤ油の使用は、休止時間の短縮や、メンテナンス要件の低減と同様、省エネルギーの観点で重要な意義があります。広範囲の運転温度に対する耐性は、低粘性の潤滑油の供用を可能とし、エネルギー効率を向上させます。
 PAOの比較的低い摩擦係数は、油膜のせん断で引き起こされる内部の摩擦量を減少させます。

出典書籍:「PAO-based Gear Oils for Energy Savings」より

潤滑小事典
 あなたの知識を試してください。ICML検定問題の1つです。
質問)「ギヤ歯上にピッチング摩耗が発生するのは、どこでしょう」

解答はこちら

ICML検定について詳しくはこちら
読者の質問から:油分析データの矛盾
質問)「最近の油圧作動油サンプル分析で、鉄の計数が約30と高く検出されました。一方、粒子計数は17/14と良好な清浄度でした。システムが清浄であるなら、鉄の計数も低いと思うのですが… 私たちが直面する問題に、何かしらの知見の提供をお願いします。」

解答)Matt Spurlock, Noria Corporation

 ミッション-クリティカル(危険と背中合わせ)の油圧システムでは、「X/17/14」清浄度レベルは、それほど望ましい状態ではないかもしれません。油圧システムの清浄度の平均値を物差しにすると、このレベルは清浄状態と汚染状態の“すれすれ”ラインです。私なら、このシステムでの清浄度は16/14/11もしくはそれより良い状態が望ましいでしょう。
17/14の清浄度レベルについてですが、>6μmと>14μmのレベル(ISO-11171校正であると仮定して)を意味します。分光計が30ppmの鉄を示すなら、このテストの固有の制限として、5μm未満の粒子まで測定していることになります。
 鉄の破片などが混入するはずもなく、システムが清浄のなら、私も、鉄の計数がもっと低くなると予想したでしょう。
私たちはこれらの原因探査を得意としています。外部の汚染防止への対処法を探すより、むしろ修理し、その後、短期間に発生する問題に着目します。

 鉄分の真の脅威を判断するためには、サンプリング場所の情報が重要です。リザーバーのドレインポートからサンプルを引いているなら、鉄片の蓄積が生じ、測定値も高めとなります。サンプルポイントがリザーバーの中央であるにもかかわらず、戻り配管から遠くに位置しているなら、希釈効果を考慮し、分析データに比して早い摩耗が生じることも視野に入れます。油圧システムでのサンプリングの最も良い場所は戻り配管で、フィルタがある場合は、その前でサンプルリングします。
 また、油圧システムの主要部品の直後の2次サンプルポイントがあれば、理想的です。これらにより、十分な信頼性を持った鉄片の発生源の特定が可能となります。

 摩耗のモードを特定するためには、サンプルに対する追加テストが必要となります。鉄が検出されているので、分析フェログラフィがおすすめです。この試験は、供給源の特定に有効です。将来実施する定例の分析の際に、大きな鉄片粒子をモニターするため、鉄密度分析を計画するなら、貴社の研究室に問い合わせ、何が鉄密度の要因となるのか確認してください。一般には、油圧システムの中の鉄は、ポンプかシリンダから発生しますが、正確な供給源と供給原因を特定しなければなりません。

 計画時の検討課題として、作動油特性がシステム製造者の推奨と一致しているか、それが供用の範囲内にあるかの確認などが重要です。システム構築が適切で、効果的な汚染防止が確立されていると思っても、作動油の特性の変化があれば、すぐに摩耗へとつながってしまいます。

潤滑小事典の解答

解答)油の激しい酸化、添加剤の消耗、誤った油種の給油

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