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マシナリー・
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大学をもっと利用しませんか?


“どうも摩擦が大きすぎる”、“なんでこんなに摩耗するのか”、“もっと安い潤滑油はないものだろうか”などなど、いろいろ困った問題に遭遇されることがおありでしょう。そういうときに、大学をもっと利用しませんか、今回はそういう話をしましょう。
いま日本には、730ほどの大学があります。もちろん、全部が全部摩擦や潤滑に関係する研究室をもっているわけではありませんが、日本トライボロジー学会に所属する2,500人ほどの個人会員のうち、1/6程度が大学に所属していますから、この分野にかかわる大学の人的資源は、相当なものだといえるでしょう。

ぼく自身、長いこと大学に勤めていましたから、企業の方から相談を受けたことがずいぶんありますが、相談を受けたとき最初にやるべきことは、問題のむずかしさの“仕分け”だと思うんです。
大きく分けて、問題のむずかしさには3つのレベルがあります。第1に、“そんなことは、よく知られてますよ”というレベルがある。そして一番難度の高いのは第3の、“そんなこと分かる人は誰もいませんよ”というレベルです。そしてその中間に、“その問題なら、どこの誰がくわしいですよ”という第2のレベルがあるわけです。

第1の、よく知られているというレベルの問題なぞ聞きに行ったら、馬鹿にされるんじゃないか、などという心配はご無用です。相談を受ける先生にしてみれば、これほど対応がしやすい問題はありませんし、相談に行ったほうでは、まず間違いのない回答がただちに得られるはずです。だいたい先生というのは、知らない人に知ってることを教えるのが商売なんですよ。
それに、トライボロジーという分野自体それほど大きくはありませんが、家庭電器から原子力、さらには宇宙まで、その応用される範囲はとても広い。だから、ある応用分野ではよく知られていても、ちょっと違った専門の人は全然知らない、というのは、よくある話なんです。

第2のレベルの問題は、相談を受けた先生の専門にぴたりとはまっていればラッキーですが、そうでない場合でも、その問題にくわしいどこそこの誰かを紹介してもらうとか、その誰かの論文をコピーしてもらう、あるいはその概要を説明してもらうなどということを、お願いしてもいいでしょう。
くわしい誰かが若い研究者だったりすると、直接聞いてもやたら細かい話になってちんぷんかんぷん、論文を読んだってさっぱり分からない、ということもある。また、くわしい誰かがアメリカ人とかフランス人とか、外国人だということだってありますね。そういうときには先生に、概要を説明してもらうのがいいでしょう。先生は授業を担当していますから、トライボロジーのいろんな問題について、自分の研究ばかりでなく他人の研究も、ある程度は勉強しているはずなのです。ま、その程度は先生によりますけどね。

第3のレベルの問題になると、すぐに回答は得られないわけですけれど、その時でも大学の利用価値はあると思うんです。その問題に一番近く、かつ解決されている問題は何か、それを一緒に考えてもらって、そこから自分で研究をスタートする、という方法がとれれば最高でしょう。同じ研究をするにしても、スタートラインの選択は成否に大きく影響します。
自分のところで研究ができないときには、多少費用がかかりますけど、先生に研究を委託するという手もある。だいたい大学は研究費に苦労していますし、先生は卒業研究の学生をたくさん抱え、そのテーマ探しが大変というのが実情ですから、研究の受託は大歓迎というところも多いでしょう。実際的な問題のだいじさを理解し、それに関連する基礎研究を進めた結果、応用面で大きな進歩につながった例が多いといわれていますから、これは工学自体の発展にも役立つはずなのです。

利用できる大学人を見つけよう
“そういわれても、何となく大学には足を向けにくい”という気持ちも、分からないではありません。大学教授が犯人だったというミステリードラマをときどき見ますと、ああ、まだ世間では大学教授の権威も地に墜ちてはいないんだなと、妙に納得するところもありますからね。
しかし大学は変貌を遂げつつあります。国立大学にしても、いわゆる法人化以降、教育・研究と並んで、社会貢献なり地域貢献を目標に掲げているところがふえました。どうぞ遠慮しないで大学を利用して下さい。“大学は敷居が高いといわれますが、予算がないから敷居なんか作ってません”という名せりふを吐いた先生もいます。
では、ある問題にくわしい先生をどうやって見つけるか、そのヒントを付け加えておきましょう。新樹社が、「トライボロジー総覧」という本を年に1回発行しています。そこに、“トライボロジー研究者ファイル”というのが出ていて、研究分野から先生が検索できるようになっています。他社の本ですが、一度ご覧下さい。


木村 好次 Yoshitsugu Kimura:
1959年 東京大学工学部卒業後、東京大学生産技術研究所教授、香川大学学長などを務め、 現東京大学・香川大学名誉教授。
材料の摩擦・摩耗、潤滑油のトラクション特性、エマルションのEHL、メンテナンストライボロジーなど研究テーマ多数。
社団法人日本トライボロジー学会 元会長。
2003年 トライボロジー・ゴールドメダル受賞。
工学博士。

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