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《パフォーマンス・ルーフ・システム社》
“高温問題の賢い解決法 -グラファイト/メタル合金軸受
ステファン・グラッド(Stephen Glad, Structured Information)


 パフォーマンス・ルーフ・システム社(ミズーリ州カンザスシティ)では、産業用ロール状屋根材を製造している。この工程で必要な加熱オーガーマシンの軸受は、頻繁に問題を起こしていた。約260℃という高温環境下のため、玉軸受の潤滑剤が急速に蒸発してしまう。そうなると、故障はもう時間の問題である。技術監督のクレイトン・スティバーソンは、軸受交換による機械の停止を減らすため、代替技術を探した。その結果、潤滑油を使わずに低摩擦を示す自己潤滑型グラファイト/メタル合金の軸受を見つけだした。本稿にてその概要と効果を報告する。(2008年 冬号掲載)
背景
 スティバーソンによると、「この新しい軸受をすでに18か月間ずっと使っていますが、摩耗している兆候はありません」と言う。「給脂と軸受交換がなくなったことで、メンテナンスのための中断時間、人件費、交換部品の費用など、相当額の節約になっています」。
高温が軸受故障の原因
図1. 高温と埃っぽい環境のため、オーガーマシンの軸受はたちまち故障した
図1. 高温と埃っぽい環境のため、オーガーマシンの軸受はたち
まち故障した
 産業用ロール状屋根材の製造では、加熱オーガーマシンが重要な役割を果たしている。この製造工程で必要な高温を維持するため、軸受の中央部分を通る管内を熱いトレーシングオイル(熱媒油)が連続的に循環している。戻ってきたオイルが、また機械にポンプで送り戻される前に、高温に再加熱される。機械に付いていた軸受は、メンテナンス上の問題があった。機械には、4個のピローブロック軸受が使用されており、交換すると軸受1個当たり435ドルかかる。軸受交換のトータルコストには、作業の人件費と機械停止にともなう費用が加わる。
 スティバーソンによれば、「4年間で軸受6個を交換しました。ほとんどの場合、軸受を取り付けるとすぐに故障してしまいました。潤滑剤が蒸発すると、直ちに軸受が金属音を発し始めるので、いつ故障が起きたかも判別できません。もし、軸受交換の時間と費用があったら、ほとんど毎週のように軸受を交換していたでしょう。比較的低速で機械を運転している時は、軸受が故障した後もほんのしばらくは運転ができました。しかし結局は、機械が完全に止まってしまう前に、軸受を交換しなければならなかったのです。我々は軸受に頻繁に給脂を施すことでこの問題を回避しようとしましたが、結果にほとんど違いはなかったように思います。どのような潤滑剤を使っても、すぐに乾いて固まってしまいました」。
解決策を求めて
図2. メンテナンス担当者は、軸受交換のたびに障害物と戦う必要があった
図2. メンテナンス担当者は、軸受交換のたびに障害物と戦う必
要があった


図3. 別の角度からみたオーガーマシンの写真。手が届きにくいところに装備された軸受
図3. 別の角度からみたオーガーマシンの写真。手が届きにくい
ところに装備された軸受


 スティバーソンは、この用途に耐える潤滑剤をいろいろと探し求めた。「1,000。F(約530℃)グレードを含めて、多くのオイルとグリースを試してみました。しかし、ほとんどの潤滑剤は24時間ももたなかったのです。オイルは決まって蒸発してしまい、グリースは固化してしまいました。面白いことに、最も効果があった潤滑剤は、SAE粘度グレード30の自動車用エンジンオイルでした。しかし、この潤滑剤でさえ、早々に故障したのです。高温への暴露とルーフ加工工程で生じる埃や沈殿物に耐えられなかったようです。しばらくすると、オイルは粘ちょう状になり、その後、軸受は直ぐに故障するのです」。
 次に、スティバーソンは軸受材料の変更を考えた。これまでの無潤滑軸受材料は高分子系であり、今回の用途での高温には耐えきれない。しかし彼は雑誌やカタログを見て、この用途での高温と埃に耐える材料を探し続けた。そしてついにグラファイト・メタライジング社の「グラファロイ」でできている軸受を見つけ出した。スティバーソンの話では、「その技術資料によると、軸受は潤滑の必要がなく私たちが扱っている温度以上の高温で使えるというのです。疑わしいと思いましたが、もう少し調べてみようと決めたのです」。
自己潤滑性グラファイト/メタル合金
図4. グラファロイブッシングの外観
図4. グラファロイブッシングの外観
 スティバーソンは、グラファイト・メタライジング社の技術者に自分の抱えている問題を伝えた。技術者は、材料の化学的、機械的、トライボロジー性能が優れた金属充填グラファイトで作られた軸受材料グラファロイを推奨した。グラファイトの構造は、一枚一枚が簡単に横滑りするトランプにたとえられる。この性質が、材料に自己潤滑性を与えて外部潤滑剤を必要としない。
 グラファロイは、グリースやオイルが要らず、ドライ環境での運転に耐えて高温乾燥条件下でも摩耗や焼付きがない。このブッシング材料は、凝結したり固化したりしないため、高温環境下でオイルや他の潤滑剤を使うことができない用途に理想的である。グラファロイは、高温で軟化せず、荷重をかけても変形しない。多くのグレードは大気中で400℃までの温度に適合しているが、この温度ではオイル系潤滑剤は燃焼するか酸化してしまい、プラスチックなら壊れる。スペシャルグレードは、530℃まで使用可能であり、非酸化環境ならば、もっと高温にも耐える。
この材料は、他の用途でさらに優位性を発揮する。酸、アルカリ、炭化水素、ブラックリカー、液体ガスのような過酷な液体に接触しても、問題なく性能を維持する。表面層だけでなく、この材料自体が低い摩擦係数を持っており、壊滅的な故障防止に役立つ。潤滑はリニアモーションの間維持されるので、潤滑剤がなくなり埃が引っ張り込まれることはない。グラファロイ® 摩耗部品はまた低速運転、頻繁な運転の始動と停止、スタンバイ状態から連続運転への切り替えなどの条件下で信頼性を向上させる。グラファロイブッシング(図4)には、溝ありおよび溝なしの円筒形状、フランジないしダブルフランジ、スプリットおよびメタルバックなど、100種以上の大きさと形状が用意されている。
新軸受の成功
スティバーソンは、材料の性能を評価するため軸受4個をメーカーに発注した。この用途にもともと使われていた玉軸受は、内径80mm、外径37/16インチ、長さ51/2インチで、オーガーマシンのスプリットピローブロックに合わせてあった。
 「これまで試したことがどれも駄目だったので、全ての軸受を発注することに躊躇はありませんでした。これは当てずっぽうでやったのではありません。私たちの部署は、メンテナンス分野で90年以上の経験を持っています。間違いない軸受を選んだことに自信があります。このサイズは、メーカーの規格品になかったので、私たちの要求に合わせて特殊品を用意してもらいました。取り付けは、以前のものよりも簡単でした。軸受は何の問題もなく動いています。1年経って軸受を調べましたが、摩擦の痕跡も見当たりません。取り付けてからこれまで、新しい軸受を外したことはありません」
 この新しい材料は今回の用途で上手く使えることが証明された。「定期的なメンテナンスが要らなくなったので、オーガーマシンの保全作業は非常に簡易化されました」(スティバーソン)。さらに、グラファロイ軸受は潤滑剤を使わないので、埃や堆積物に影響されない。以前の軸受に使われていた潤滑剤には、埃や堆積物が徐々に溜まっていった。
 「この結果、メンテナンス部隊は他の仕事に集中できるようになりました。新しい軸受は前に使っていたものよりもずっと静かに動いています。その性能に満足していますし、要求があれば他の高温用途にも使うつもりです」。

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